介護業界に転職を考えている方は、厚生労働省が公表している介護報酬や事業運営基準に関する資料に一度目を通すのが良いでしょう。この資料には、介護保険サービスの値段表、及び事業所がサービスを提供するにあたっての守るべき事項が記載されています。大きな書店に行けば、それを収録した書籍も販売されています。

注目すべきは、介護保険が利かないサービスについても記載されていることです。たとえば、要介護者の家族に対する洗濯や食事作りであったり、要介護者にとって日常生活に支障の出ない花木の水やりや草むしりなどは、介護サービスの対象外とされています。これらのことは、介護従事者が家政婦ではないという観点からすると当然のことです。

グレーゾーンとなるサービスとしては、日常に行われる家事の範囲を超える部分の季節の変化に伴う衣服の入れ替えや床のワックスがけなどが挙げられます。これらの援助に関しては、サービス側と利用者側とで認識が食い違うことが多く、調整が難しいのです。

グレーゾーンにおいては、介護従事者によっては援助してしまうこともあり、両者の信頼関係による阿吽の呼吸という形で問題が解決されてしまいます。しかし、利用者側がヘルパーを家政婦の代わりだと誤認している場合には、難しい対応が迫られます。介護サービスにあたっては、開始前にケアマネージャーが要介護者のできない部分を補うという視点でケアプランを作成する必要があるのです。